九州神経精神医学
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総説
精神療法のトレーニングについて
精神分析的な立場から
原田 康平川嵜 弘詔
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2017 年 63 巻 3_4 号 p. 153-159

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抄録

 精神療法のトレーニングは精神科医の研修において重要な問題であるが,我が国では利用可能性の問題もあり十分には整っていない現状がある。精神療法は幅広い治療法や学派を含むが,(1)全ての精神科医が行う精神療法的な治療関係の構築という広義の精神療法と,(2)より専門的な狭義の精神療法に大別される。(2)狭義の精神療法の一つである精神分析的精神療法のトレーニングでは,スーパービジョンと定期的なセミナーが重要な位置を占める。(1)広義の精神療法のトレーニングでは,患者と治療者だけの「密室」的な性質を持つ精神療法的なやり取りについて他の治療者と語り合う,「他者」と交わる「仕掛け」の工夫が重要である。他者との対話を重ねるなかでその作業が徐々に内在化され,治療者が一人でこころのなかで他者と対話をする「内的対話」を行えるようになることが,精神療法のトレーニングの大きな目的である。

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© 2017 九州精神神経学会
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