九州神経精神医学
Online ISSN : 2187-5200
Print ISSN : 0023-6144
ISSN-L : 0023-6144
研究と報告
精神科急性期病棟入院時の心理教育プログラムにおける疾病及び薬物の知識の変化が退院後の外来通院期間に及ぼす影響
榎木 宏之
著者情報
ジャーナル フリー

2019 年 65 巻 1 号 p. 26-32

詳細
抄録

 本研究では,精神科急性期病棟で実施した心理教育プログラム受講者の理解度の実施前後での変化の程度が,退院後の外来通院期間に及ぼす影響を検討し,長期的な外来通院のために必要な,疾病及び薬物に関する知識の特徴を明らかにすることを目的とする。精神科急性期病棟入院中に心理教育プログラムを受講した統合失調患者116人を,退院後の外来通院期間6ヶ月未満群(n=17)及び外来通院期間6ヶ月以上群(n=99)の2群に分け,属性及び,KIDI合計及び各項目についてt検定および二項ロジスティック回帰分析(強制投入法)を行った。その結果,「薬物項目群」「抗精神病薬の長期連用について」「薬物療法と社会的治癒について」におけるプログラム前後での変化量が半年以上の通院を予測する因子として認められた。そのため,より長期的な外来通院のためには,入院中の段階で抗精神病薬への適切な理解に加えて,薬を服用していても社会復帰が可能であるという理解が得られるような働きかけが重要であることが示唆された。

著者関連情報
© 2019 九州精神神経学会
前の記事
feedback
Top