2019 年 65 巻 2 号 p. 74-80
19世紀,気質の概念は Kraepelin ら精神科医から提唱されていた。Kraepelin の概念を継承し,Akiskalは双極性障害と単極性うつ病が連続性を持ち,それらを包含する概念として「双極スペクトラム」を提唱した。また,双極スペクトラムに関連するTemperament Evaluation of Memphis, Pisa, Paris and San Diego-autoquestionnaire version(TEMPS-A)で同定された抑うつ,循環,発揚,焦燥,不安の5つの感情気質を示した。本稿ではTEMPS-Aの気質中心に関連する,様々な研究を紹介する。TEMPS-Aの気質とTemperament and Character Inventory(TCI)の気質の関連についての研究,気質と光の関係についての研究,fMRIやPETを用いた気質に関連する脳機能画像研究,最後に薬物反応性や自殺などふくめ,臨床への応用が期待される研究について提示したい。