九州理学療法士・作業療法士合同学会誌
Online ISSN : 2423-8899
Print ISSN : 0915-2032
ISSN-L : 0915-2032
第32回九州理学療法士・作業療法士合同学会
セッションID: 108
会議情報

入院患者様のリハビリテーションの適性調査
看護必要度B項目の変化とリハビリテーション有無の関係
*安里 幸健西村 真樹長濱 ゆかり
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
【目的】
リハビリテーション(以下リハ)介入者と未介入者間で共通の運動もしくは活動性の評価を実施することは実際の現場では困難な場合が多く効果の比較は実施されづらい環境にある。今回、看護師が病棟で入院時から退院日までほぼ全入院患者に評価している看護必要度B項目(以下看必B)に着目しリハビリテーションの効果や適性の分析を行ったので以下に報告する
【対象者】
8429名平均年齢65.0±18.6歳、内訳男性4492名平均年齢62.5±18.0歳、女性3937名平均年齢67.8±18.9歳 2008年8月1日から2009年7月31日までの入院患者20902名の内から看必B評価対象者外(産婦人科、小児科、各種検査入院)及び看必B項目(入院時、退院前日)の評価漏れの方は除外した。
【方法】
定義1理学療法、作業療法、言語療法のうちいずれか1回でも実施された場合は介入者と定義した。定義2看必Bの入院時と退院前日の評価の差が-1点以下を改善群、0点以上を非改善群と定義した。分析_I_検定はχ二乗検定にてリハ介入有無と看必B変化を分析した。分析_II_入院時看必Bの点数ごとにリハ介入有無での改善度を表にし傾向性を検証した。
【結果】
分析_I_より (1)看必B改善群はリハ介入有無によって水準が異なる(P<0.0001) (2)リハ介入者数は非介入者数より少なかった_(3)リハ改善群はリハ介入群が高かった 分析_II_より (4)入院時看必B4点以上ではリハ介入者の割合が高かった。 (5)入院時看必Bの点数ごとの改善率でリハが有効になる境界は確認できなかった。ただし、入院時看必B4点、9点、10点でリハ実施者の改善率は非実施者に比較し高かった。
【考察】
当院のリハの現状を相対的にみた場合、入院患者にリハが実施された場合に実施されなかった場合に比較して活動性の改善が高くなる事が確認された。ただし、入院時の看必Bの点数でリハの適性の境界を判断できる結論は見出せなかった。
【まとめ】
医師の指示の下で実施が検討されるリハではあるが、セラピスト以外がリハの適応を判断するのは中々困難なのが現状である。入院時に行われる評価を利用しリハ適性をルーチンに評価するシステムがあれば患者様の早期治療や介入漏れの助けになると考える。今回は、相対的な統計で考察を行ったが、疾患別、介入時期、リハビリ介入頻度など多角的な視点を取り入れ今後も検討を重ねたい。
著者関連情報
© 2010 九州理学療法士・作業療法士合同学会
前の記事 次の記事
feedback
Top