九州理学療法士・作業療法士合同学会誌
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第32回九州理学療法士・作業療法士合同学会
セッションID: 223
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ポジショニングチームの取り組みと今後の課題
*川原 梓馬津川 龍太
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抄録

【はじめに】
当院の医療保険療養病棟は、重度の神経難病患者を主とし、活動性の低い患者が大多数を占めている。患者の日常生活の多くはベッド上や車椅子上であり、異常筋緊張や拘縮などの原因によってポジショニングに難渋するケースも少なくない。しかし、現状としては全スタッフでの統一したポジショニングが行えておらず、ポジショニングに対して病棟全体で取り組む必要性を感じていた。そこで、ポジショニングや疾患についての理解を深め、適切なポジショニングを提供できるよう病棟スタッフとともにポジショニングチームを立ち上げた。今回、立ち上げの経過とその取り組みについて報告する。
【立ち上げの経過】
チーム構成:看護師8名、介護福祉士4名、リハスタッフ3名 活動期間:平成21年4月~平成22年3月 経過:4~5月チーム編成、6~7月アンケートの実施・集計(スタッフの意識や知識の調査)、8~9月システムの構築(評価表の作成、ラウンドの実施基準作成、勉強会の実施、表示の統一)、10~2月システムのテスト運用、3月再評価(アンケートの実施)、4月システム稼働
【ポジショニング・ラウンドについて】
ポジショニングの必要性の高い患者をミーティングにて選定する。月2回、業務時間内に30分程度の時間を設け、看護師1名、リハスタッフ3名でラウンドし、患者のポジショニングを検討する。写真などにてポジショニング表示を作成し、ベッドサイドに掲示する。掲示日より1週間、ポジショニング評価表を使用し、毎日評価を行う。一週間後に最終評価を行ない、最終決定した内容を掲示する。
【結果】
ポジショニング評価表やポジショニング・ラウンド実施基準の作成、勉強会の実施によって、スタッフの知識・意識が向上した。また、通常の業務に取り込むために約5ヶ月間のテスト運用を行ない、実際の稼働につながった。ポジショニング表示に関しては、形式を統一するなど、見やすい方法も検討できた。患者においても実際に発熱回数や吸引回数が減少したケースを確認することもできた。
【今後の課題】
ポジショニングを通じて他職種協働にて連携をとることで、病棟全体の質の向上につながった。しかし、他の業務との調整を図りながらの実施であるため、不十分な部分がある。ポジショニングとは、患者特有の状態に合わせて行うものであり、褥瘡や拘縮、筋緊張亢進などの予防またはその改善には欠かせない。また、個別的なかかわりとしてもチームで取り組むことが重要な要素となる。そのため、より効率的で効果的なシステムを目指し、役割分担しながら安楽なポジショニングを提供できるようにしていきたい。

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© 2010 九州理学療法士・作業療法士合同学会
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