九州理学療法士・作業療法士合同学会誌
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第32回九州理学療法士・作業療法士合同学会
セッションID: 316
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入学予定者に対する臨床見学実習の試み
目的意識の向上をめざして
*松本 貴子河口 万紀子米ヶ田 宜久亀尾 香珠代
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抄録

【はじめに】
本学院の入学試験は入学予定の10月に開始され、推薦入試の合格者は入学までおよそ半年間の期間がある。その期間の目的意識向上のための試みとして、2回の入学前講義、半日程度の臨床施設見学を行った。特に臨床施設見学については、入学前の高校生が対象であるということや、見学施設との調整など、入学後の実習とは異なった考慮点が多くあった。しかし、参加者からの反応が非常に良好であったため、以下にその内容、参加者の感想をまとめて報告する。
【参加者】
平成20年12月現在の合格者117名中、参加を希望したもの93名(79.5%)である。各学科の内訳は作業療法学科22名(入学予定者の81.5%:以下同様)、理学療法学科昼間部48名(77.4%)、理学療法学科夜間部20名(71.4%)である。
【実施期間】
平成21年1月中の土曜日3日間、半日程度の見学を設定した。受け入れ施設は作業・理学療法両部門の見学が可能で、事前に趣旨を説明し、賛同を得られた11施設である。
【実施内容】
基本的に全体的なオリエンテーションの後、指導者に個別で対応して頂き、実際の治療場面を見学させて頂いた。その後、同行の教員、指導者を交えて反省会を行い、1週間後に感想の提出を義務づけた。
【学生への案内】
平成20年12月初頭に実習受け入れ先を知らせ、希望を調査した。返信はハガキでの申込30名(32.2%)、メールフォーム利用が63名(67.8%)であった。最終的にメールでの連絡が困難だったのは対象学生117名のうち9名のみであった。
【感想の内容】
終了後のアンケートはメールフォームを使用した。90名の参加者のうち返信があったのは82名(91.1%)である。1.参加してどうでしたかという問いの結果は大変良かった55名(67.0%)、良かった26名(31.7%)、普通1名(1.2%)であり、ほとんどの参加者が良かったと答えている。2.感想としては職業のイメージが明確化した、あこがれる気持ちが強くなったなどの意見があった。また、3.見学の前後で何か変化があったと答えているものは73名(89.0%)だった。4.の変化点では、学ぶ内容が具体的になった、入学してから頑張っていこうと思った、などの意見が多かった。5.来年も行った方が良いと答えた参加者は80名(97.5%)とほとんどを占めていた。
【考察】
アンケートの結果より、当初の目的であった目的意識の明確化という点では一定の成果を得られたと考える。しかし、実施に際しては入学前の高校生が中心ということで、オリエンテーションが十分できず、個々との連絡調整が困難など入学後の実習とは異なる点も多くみられた。この点に関しては、携帯電話所有者については個別での連絡やアンケートにメールやメールフォームの活用が有効であった。受け入れ先の施設も初めての経験ということで、戸惑いも多かったが、学生の学習意欲の向上につながるとして評価するという意見を多く頂いた。今後もこの取り組みを継続し、経過を報告したいと思っている。

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