喉頭
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教育パネルディスカッション
空気力学的検査
平野 愛
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2016 年 28 巻 2 号 p. 77

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抄録
音声障害に対する治療として,喉頭微細手術や喉頭形成術などの治療が体系化され,声の検査方法が提唱されてから30年以上の年月が経過しているが,声の検査の普及は未だ十分であるとは言えない.それは,音声の聴覚印象によって他覚的あるいは自覚的に治療効果がわかるということ,患者個人により音声に対するニーズにバリエーションがあること,診断は内視鏡所見のみでもある程度可能であること,などが要因であると思われるが,聴覚印象や内視鏡所見を定量的に評価して示すことは難しい.空気力学的検査は,音声に関して客観的に,目に見える形で数値化できる検査であり,音声障害の重症度や治療効果判定において非常に有用である.最長発声持続時間(MPT)は最大呼気をさせた後,一定の高さと強さで可能な限り長く持続発声を行わせ,その持続時間を測定するものである.一般的には10秒以下になると日常生活で声の持続に問題がおこり,会話時に疲労感を感じるようになる.発声時平均呼気流率(MFR)は1秒あたりに必要な呼気流量を示すものである.MPT,MFRは喉頭疾患による音声障害において特に声門閉鎖不全の評価に有用である.声門下圧,喉頭効率は発声の駆動力,声帯の性質,気流の速度などにより左右され,発声の調節機構の評価,研究に有用な検査であり,気流阻止法により間接的に侵襲を加えることなく測定することが出来る.空気力学的検査の実施には発声機能検査装置を用いることが一般的ではあるが,MPTはストップウォッチさえあれば,診察室あるいはベットサイドでも簡便に行うことが出来る.空気力学的検査は患者や主治医のニーズや印象に左右されることなく,簡便に,かつ客観的にその治療効果を示すことが出来るという点で非常にメリットの大きい検査である.
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© 2016 日本喉頭科学会
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