ヒト声帯黄斑内の細胞をin vitroで培養すると,幹細胞に特徴的なコロニーを形成して増殖する.新生児生体内の声帯黄斑内にコロニー形成が存在するのか,またその超微形態を検討した.
病変がないヒト新生児の声帯3例の声帯黄斑の細胞を透過型電子顕微鏡下に観察した.
新生児の声帯黄斑にコロニーを形成する細胞群が存在し,細胞から分泌された無定形物質,糖タンパク質を介して,細胞同士が接近・接着し,細胞が集塊していた.接近した細胞は接着複合体(アドヘレンス結合,デスモゾーム様結合)を形成し,これらを介して,またcellular interdigitationを形成し細胞同士が接触していた.
幹細胞はin vitroでコロニーを形成して増殖するが,その機序と役割は不明な点が少なくない.新生児声帯黄斑内の組織幹細胞は,生体内(in vivo)でもコロニーを形成していることが確認された.