喉頭
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総説
声帯粘膜のmicrofibril-associated macromoleculeの超微構造
佐藤 公則千年 俊一佐藤 文彦佐藤 公宣小野 剛治梅野 博仁
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2023 年 35 巻 2 号 p. 136-141

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抄録

ヒト声帯粘膜の粘弾性は,声帯振動と発声に必須である.粘膜の粘弾性は細胞外マトリックスの質的・量的三次元構造に委ねられる.近年,フィブリリン含有の微小線維(microfibril)は,単なるフィブリリン重合体ではなく,種々の高分子が付加された構造である事が分かってきている.

ヒト声帯粘膜では,微小線維と他の細胞外マトリックスとの関連性とその機能に関して十分に解明されていない.本総説では声帯粘膜のmicrofibril-associated macromoleculeの超微構造を概説する.

直径が約10nmの微小線維はヒト声帯粘膜のラインケ腔に広く分布している.微小線維の一部は単独に存在し,他の微小線維は,膠原線維,細網線維(typeⅢ膠原線維),エラスチン,プロテオグリカン,グリコサミノグリカンと混在している.このことは,微小線維に伴ったタンパク質あるいは糖タンパク質は,ヒト声帯粘膜の特性や粘弾性に関与していることが示唆される.

微小線維に伴ったタンパク質あるいは糖タンパク質は,微小線維単独の機能とは異なった細胞外マトリックスとしての特性や機能を保持していることが示唆される.声帯粘膜のmicrofibril-associated macromoleculeの役割について,さらなる研究が望まれる.

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© 2023 日本喉頭科学会
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