Abstract
我々は日本語を第二言語とする日本語学習者が大学などで論文・レポートなどアカデミックな文章を作成する作文支援システム構築を目指している.オーセンティックな大規模日本語コーパスを利用して,学習者の作文中の表現と,コーパス中の表現とを比較できる「表現辞典」を構築し,学習者の表現をその目的にふさわしい表現に言い換える提案をするものである.
本稿では様々な言語要素の中から,「接続表現」に焦点を当て,「接続表現辞典」構築を目指す.はじめに文章全体を見据えた視点から「接続表現」という語を定義した後,大規模コーパスのテキストデータから人手とシステムの両方の方法で「接続表現」568項目を選定し,自動判定の必要性と問題点を述べた.最後に「接続表現」568項目からレジスター判定を人手で行い,学習者が目的とする論文にふさわしい表現が「接続表現辞典」の構築によって獲得できる可能性を示した.