2013 年 54 巻 3-4 号 p. 127-134
平成21 年(2009)告示、平成24 年(2012)施行の『高等学校学習指導要領』において単元「整数の性質」が数学Aに設けられた。昭和52 年(1977)告示の『中学校学習指導要領』において中学1 年生で整数の性質が扱われて以来のことである。中学1 年生ではなく高校1年生ならば、背理法を用いることも可能になる。ユークリッド『原論』第9 巻の命題20「素数は無限にある」の証明法には、背理法を用いた間接証明と素数を構成する直接証明があり、本稿は、高等学校数学科検定済教科書ではその証明がどのように扱われているか、そしてそれを学ぶことでどのような教育効果が期待されるかを論じた教材研究である。