物語研究
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演劇物語論 : 亡霊の告げ(テーマシンポジウム 物語のパフォーマティヴ,<特集>物語のパフォーマティヴ)
藤井 貞和
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2014 年 14 巻 p. 16-27

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抄録

演劇(神事から訣れて成立するにしても)を支えるのはperformativityだ。もの凄い危機的な転換点で、(例えば)人身犠牲からの脱却や(祭祀へ向かうだろう)、戦闘(虐殺、略奪、rape)の擬制化、村や家の起源神話の成立、昔話(口承説話)の簇生、(慰鎮しようがないにせよ)御霊(=亡霊)祭祀の成長……、それらが仮面や舞踏の夜に幻出し、歌謡(詩歌)を、語り(のルール)を、演出(舞台、作り物、俳優、台本、作劇法)をというように、擬態に(木の葉に、枯れ枝に、鳥のうんこに)分化して、芸能を足組みし、演劇へ構築される。物語を支えるすべてのperformativityもまたそこに胚胎しよう。"前"神話紀を措いて、1、神話紀、2、昔話紀、3、フルコト紀、4、物語紀、5、ファンタジー紀、および紀と紀との<間>境域にもの凄い危機が訪れて、文化や文学事象を産むという見渡しである。二〇一三年八月物語研究会大会(於、犬山市)のシンポジウムでの発表原稿に加筆する。

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