抄録
健診の腹部超音波検査にて右副腎腫瘤, インシデンタローマを指摘された66歳男性症例について報告する。インシデンタローマとは, 副腎疾患を疑われていない症例に偶然発見された副腎腫瘤を指す。精査の結果, コルチゾールの自律的な過剰分泌が認められるもののクッシング症候群に典型的な身体徴候は欠いており, プレクリニカルクッシング症候群と診断した。本症例については, 腫瘍径が3cm大と大きいこと, また全身性肥満, 耐糖能障害, 高血圧などの症状を認めたため, 右副腎摘出術を行うに至った。インシデンタローマおよびその中の1つに該当するプレクリニカルクッシング症候群について, 最近の知見を踏まえ報告する。