日本未病システム学会雑誌
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脳梗塞の未病と〓血
永田 勝太郎
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2005 年 11 巻 1 号 p. 62-66

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抄録

脳梗塞は発症後に寝たきりになるなど, その予後は芳しくなく, 未病を治すことが重要な疾患である。
〓血証と脳梗塞 (MRI所見) , 起立性高血圧との関連について検討した。麻痺などの神経症状がまだ発症しておらず, 頭痛・肩こり・吐気・めまい・意欲の低下などの不定の症状を有した患者で, 脳のMRIでlacunae型脳梗塞が見出された患者 (32例) を対象に, 起立試験, 〓血スコアなどを検討した。対象者では健常者に比し, 起立試験では起立性高血圧反応 (立位後の交感神経反応の亢進, 特に心臓交感神経の亢進) を示し, 〓血スコアは重度〓血病態であった。特に上半身に現れる兆候に陽性項目が多かった。脳梗塞が鎮静化すると, 起立性高血圧反応は消失し, 〓血スコアも正常化した。未病を治すことは最も重要な医療上の問題である。〓血という概念は, まさに未病診断にとり有効な方法である。今回, 脳梗塞の未病を観察したが, 〓血を日常診療に取り入れ, バイタルサイン並みに扱うことを提唱したい。

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