日本未病システム学会雑誌
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OTC検査の今後の課題
浦田 武義
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2007 年 13 巻 1 号 p. 34-40

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抄録
OTC検査, 特にOTC検査薬の国民への普及の道のりは, いまなお遠い。
それは, 厚生労働省から承認・許可されている供給項目が, 未だに尿糖, 尿蛋白, それに尿による妊娠検査の3項目にとどまっていることからも明らかである。
しかし, 2005年4月の薬事法改正により, 体外診断用医薬品はすべて処方箋医薬品から除外された。
この意味するところのものは極めて重く, 排卵予知検査用体外診断用医薬品のような素人の生活者でも簡単に扱えるものは, 薬局, ドラッグストア (DS) で生活者からの求めがある場合に限り供給が可能となった。
しかし, 体外診断検査用医療機器については, 「高度管理医療機器, 特定保守管理医療機器」の縛りが新たに設けられ, 今回これに拘束された自己検査用グルコース測定器 (self monitoring blood glucose: SMBG) , デジタル尿糖計は, 取り扱い講習を受けて供給許可を得たほんの一握りの薬局・DS以外では, その販売は禁止されるに至った。
これにより, メタボリックシンドローム第一次予防のためのSMBGの国民的普及は絶望的となった。
それゆえ今後, 国民の保健衛生のさらなる向上のためには, 体外診断用医薬品・医療機器をスイッチングし, 薬局・DSで対面・啓蒙・販売が可能な「一般用検査薬・管理医療機器」としての位置づけを政策的に確立することと, その積極的な行政的普及がすべてに優先する。
終わりに, 店頭で啓蒙すべきOTC検査の対象として, 糖尿病, メタボリックシンドローム, 大腸癌, Hピロリ感染 (症) , 性感染症を挙げ, これらの疾病第一次予防の疫学的背景理由を論述した。
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