日本未病システム学会雑誌
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被扶養 (配偶) 者への自宅健診適用と巡回健診との並列実施による有用性
鈴木 賢二御所窪 直美森 誠柴 孝二荒井 親雄
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2007 年 13 巻 2 号 p. 233-242

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抄録

目的: 厚生労働省は高齢者医療確保法による特定健診を医療保険者に義務づけ, 2012年度には70%, 2015年度には80%の高受診率を目標値としている。これに対して, 有所見率が高く, 重症者が多いといわれてきた従来の巡回健診未受診者を拾い上げて受診率を高める新たな健診システムを試み, その有用性を検討した。
方法: F健保組合被扶養配偶者1, 193名 (35~64歳女性) に, 検査精度が複数施設で確認できた生活習慣病自宅健診 (冷蔵宅配便法) を適用して巡回健診と並列実施し, その受診率と両健診方式による受診群の年齢構成, 有所見率の対比を行った。さらに, この結果を別集団で検証した。
結果: 30%近い受診率を得, 巡回健診に比べて自宅健診の受診者は40歳代以下の若年齢層に多かった。「要再検」者は, 巡回健診に比べて自宅健診受診群が尿酸検査で1.9倍, 腎機能検査で4.1倍, 糖尿病検査で5.4倍多く, 「要精検」者は同様に肝機能検査で3.6倍, 糖尿病検査で10.8倍多い有所見率を示した。この傾向は, 別集団による対比でも確認できた。
結語: 自宅健診は巡回健診より若年齢層を受けさせ, 従来の巡回健診未受診群の特徴である有所見者や重症者を受けさせている可能性が高く, 受診率を30%近く確保できたことにより, 自宅健診の適用と巡回健診との並列実施は, 被扶養者への健診や被保険者未受診群の拾い上げ策などとして有用であると考えられた。

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