日本未病システム学会雑誌
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未病としてのC型肝炎対策
原 俊哉和田 郁子藤本 優川添 聖治梶原 進水田 敏彦尾崎 岩太久富 昭孝山本 匡介
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2001 年 7 巻 1 号 p. 69-71

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抄録

C型肝炎ウイルス (HCV) は, 成人における初感染後も高率に持続感染し, その約30%が30年前後の経過の後, 慢性肝炎から肝硬変および肝癌へと進行していく。C型肝炎は初感染時および慢性肝炎の時期は, 特徴的な臨床症状を示さないことが多い。佐賀県は平成4年より30歳以上の住民を対象とし, 県内の各市町村において肝機能検査およびHCV抗体を測定している。今回, 未病としてのC型肝炎対策について検討した。1992年度より1999年度まで185, 291人のHCV抗体検査受診者数があった (男性61, 787人, 女性123, 504人: 佐賀県30歳以上の住民の約30%) 。受診者185, 291人中14, 397人 (7.8%) のHCV抗体陽性者が見出された。男女差は認めなかった (8.5vs.7.4%) 。49歳以下の年齢層ではHCV抗体陽性率3.3%であったが, 50歳以上の年齢層では陽性率10.4%と極めて高値だった。県内市町村におけるHCV抗体陽性率と肝癌の死亡率は有意な正相関を認めた (p<0.0001) 。今後検診において見出されたHCVキャリアの管理が重要である。

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