抄録
Bacillus subtilisのある種の株は,分裂の初期の段階において一本のひものように伸び複雑な曲折を示す。この曲折は,固形培地の堅さや摩擦係数などの培地表面の性質によって影響を受けることが予想された。そこで培地の寒天濃度を変え,細胞がどのような増殖を示すかを観察した。その結果,寒天濃度が低いときはツイストが生じることが少なく低い密度の増殖をしたが,寒天濃度が高くなると細胞のひも同士が平行に寄り添いコンパクトなコロニーとなった。またどの濃度でも初期コロニーにおいては一本のひものまま増殖し,切断が生じたことは認められなかった。さらに細胞のひものツイストが各濃度で認められたがその様式には濃度による差があるように思われた。