2014 年 30 巻 2 号 p. 85-96
微生物資源の保全と持続可能な利用のためのアジアコンソーシアム(ACM)が2004年に設立された.近年,13カ国(カンボジア,中国,インド,インドネシア,日本,韓国,ラオス,マレーシア,モンゴル,ミャンマー,フィリッピン,タイ,ベトナム),23機関がACMのメンバーとなっている.ACMの目的は,アジアにおける微生物資源の保全と持続可能な利用を高めるために,アジア諸国における政府や公的機関間の協力を促進することにある.微生物学の発展において微生物資源センター(MRC)の重要性を認識し,ACMにおいて設立された材料移転管理作業部会(MMT-TF)において新しいスキーム「ACMを基盤とする微生物の国際移動ネットワーク(NIEMA)」が開発された.このスキームは,生物多様性条約(CBD)並びに生物の多様性に関する条約の遺伝資源の取得の機会及びその利用から生ずる利益の公正かつ衡平な配分に関する名古屋議定書(NP)に則した微生物資源の移動と利用の適法と簡素化の方策を提供するものである.