日本微生物資源学会誌
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短報
酵母共培養法を用いた乳酸菌の新規分離法の開発とミャンマー産発酵食品からの分離
乙黒 美彩 前田 康太郎岸本 宗和山村 英樹安藤 勝彦Phay Nyunt早川 正幸柳田 藤寿
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2017 年 33 巻 2 号 p. 55-62

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抄録

乳酸菌の分離に一般的に用いられているのは集積培養法や希釈平板法であるが,分離される乳酸菌の種類は優占性や増殖速度に依存している.本研究では酵母との共培養を利用したこれまでに報告例のない新規乳酸菌を効率的に分離することを目的に方法を構築した.さらに,開発した方法を用いてミャンマーの伝統的発酵食品から乳酸菌の希少種を分離し,本手法が多様性評価に有用であるか検証した.

予備試験として既知の乳酸菌18種2亜種と酵母6種を用いた共培養試験(組み合わせ114通り)において,特定の乳酸菌と酵母の組み合わせは,ともに培養することにより乳酸菌の生育を促進あるいは抑制することが明らかとなった.この現象を応用し分離源試料をSaccharomyces cerevisiae等の酵母とともに液体培地中で共培養し,次いで平板分離する酵母共培養法を構築した.本法の有効性を評価するため,ミャンマーの発酵食品8点(魚やエビのなれ鮨,発酵ペースト)を用いて,酵母共培養法および希釈平板法により52株の乳酸菌を分離し,16S rDNA解析による簡易同定を行った.ミャンマー産乳酸菌は3属,15種に配属され,Lactobacillus属が最も多く85%(44株)を占めた.16S rDNA解析に基づく新種推定株は希釈平板法から1株,酵母共培養法から2株が分離された.Lactobacillus属分離株のなかには近年台湾やタイの発酵食品から分離例のあるL. futsaiiL. plajomiが含まれていたが,いずれも希釈平板法で分離された.一方,Weissella属はS. cerevisiaeとの共培養分離法でのみ分離することが可能であった.これらから,開発した共培養法を発酵食品に適用することで,通常の希釈平板法では分離することができない乳酸菌種が得られることが示された.

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© 2017 日本微生物資源学会
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