民族學研究
Online ISSN : 2424-0508
琉球列島文化研究の新視角(<特集>「琉球」研究を求めて)
比嘉 政夫
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1996 年 61 巻 3 号 p. 437-448

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抄録

琉球列島の歴史・文化を研究する領域の呼称として「沖縄学」が定着しているようにみえるが,その呼称の指す地域の限界性,狭隘さについては,これまでも指摘があった。民俗研究の分野においても,奄美,沖縄,宮古,八重山の島嶼群を総称する<term>が求められている。琉球列島の民俗事象の一般化の難しさは,その地域的差異の著しさが要因とされるが,本稿では沖縄本島南部における門中神役の地域的差異をあげて,その一般化の難しさを例証した。<琉球民俗学>が可能になるためには,琉球列島に日本本土の源型をもとめ,日本の文化的枠組み,本土的<term>の廷用に陥りがちであった,これまでの民俗学を脱し,この地域の文化を他と弁別させている特徴を抽出し体系化することが必要である。

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© 1996 日本文化人類学会
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