日本菌学会大会講演要旨集
日本菌学会50周年記念大会
セッションID: 67-B
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一般発表(ポスター)
三重県亀山市のユーカリ植栽林における外生菌根菌子実体の種多様性
*折原 貴道大藪 崇司岩瀬 剛二
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抄録
ユーカリ属Eucalyptus の多くはオーストラリア大陸原産であり、成長が早く、また乾燥や塩害等にも強いことから、世界中の多くの地域で植林が試みられている。近年では更にパルプ材としての利用や葉から抽出・精製したオイルの利用など、幅広い用途可能性を有する樹木として注目されている。ユーカリ属の樹種は外生菌根を形成することが知られており、オーストラリアやブラジルを初めとする多くの地域からその菌根菌相が報告されているが、日本におけるユーカリ外生菌根菌相ついては未解明な点が多い。本研究では、三重県亀山市の王子製紙森林資源研究所ユーカリ試験植林地において、植栽後8-9年が経過したE. globulus 植栽地に2箇所、及びE. camaldulensis 植栽地に1箇所の方形コドラート(10×10 m)を設置し、2004年7月より月1回の間隔で外生菌根菌の子実体発生状況の定点調査を行った。その結果、Laccaria fraterna, Scleroderma cepa, S. sp. 及びPisolithus sp. の計4種の子実体発生が現在までに確認された。また、子実体発生量及び種数は9月から12月にかけて多くなった一方、1月から8月にかけては常に少ない状態であった。主要な原産国であるオーストラリアでは約660種の外生菌根菌が確認されており(Bougher, 1995)、日本におけるユーカリ植栽地の外生菌根菌相の種多様性は著しく低いことが示唆された。本発表では、これら4種の子実体の形態的特徴及び発生状況の季節変動について考察するとともに、現時点までに演者らが観察した、オーストラリアのユーカリ林及び日本国内の他地域で採集された同種標本との比較も行い、日本におけるユーカリ外生菌根菌の種多様性と、ブナ科樹種の菌根菌相との共通性に関しても考察を行った。
本研究の主旨に賛同し、試験植林地の利用を快く承諾してくださった、(株)王子製紙 森林資源研究所に心より御礼申し上げます。
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© 2006 日本菌学会
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