日本菌学会大会講演要旨集
日本菌学会第51回大会
セッションID: E18
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第3会場
数種Colletotrichum属菌のゴマノハグサ科花卉に対する病原性
*富岡 啓介西川 盾士森脇 丈治佐藤 豊三
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抄録
演者らは,Colletotrichum acutatumC. gloeosporioidesC. destructivumC. circinansおよびC. dematiumがゴマノハグサ科花卉のキンギョソウ (Antirrhinum majus) に対して病原性を有すること,また,前者3菌種の同科花卉アンゲロニア (Angelonia gardneri),トレニア (Torenia fournieri),ペンステモン (Penstemon gloxinioides) およびベロニカ (Veronica alpina) に対する病原性は認められず,その内C. destructivumのみがジギタリス (Digitalis purpurea) とネメシア (Nemesia strumosa) にも病原性を有することを報告した (2000, 2004, 2005).今回はColletotrichum属菌のゴマノハグサ科花卉に対する病原性をさらに理解するため,前回供試した菌株[※]を用い,5菌種のヒメキンギョソウ (Linaria bipertita) とカルセオラリア (Calceolaria × herbeohybrida) に対する病原性,ならびにC. circinansC. dematiumのアンゲロニア,トレニア,ペンステモン,ベロニカ,ジギタリスおよびネメシアに対する病原性を調査した.その結果,5菌種はいずれもヒメキンギョソウとカルセオラリアにも病原性を有することがわかった.ヒメキンギョソウでは,キンギョソウと同様,いずれも花弁に対してのみ病原性を示した.カルセオラリアでは,C. acutatumC. gloeosporioidesおよびC. circinansが花弁にのみ病原性を示し,C. dematiumには枯死をもたらす菌株 (MAFF238704) と花弁にのみ病原性を示す菌株 (MAFF239500) が,C. destructivumには枯死をもたらす菌株 (MAFF238340) と全く病原性を示さない菌株 (MAFF238453,MAFF238560) が認められ,両菌種における病原性の種内分化が示された.なお,ヒメキンギョソウとカルセオラリア以外の被検植物に対するC. circinansC. dematiumの病原性は認められなかった.[※C. acutatum (MAFF306546),C. gloeosporioides (MAFF238043),C. destructivum (MAFF238453,MAFF238560,MAFF238340),C. circinans (MAFF238640),C. dematium (MAFF238704,MAFF239500)]
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© 2007 日本菌学会
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