Journal of the Society of Inorganic Materials, Japan
Online ISSN : 2185-4378
ISSN-L : 1345-3769
論文
超音波照射法により調製した超微細水酸アパタイト粉体の焼結挙動
板谷 清司山﨑 亮森 寛貴Ian J. DAVIES梶原 奨平黒江 晴彦南澤 宏瑚小嶋 芳行
著者情報
ジャーナル フリー

2024 年 31 巻 428 号 p. 17-24

詳細
抄録

 超音波照射法によって調製した超微細水酸アパタイト (Ca10(PO4)6(OH)2; HAp) 粉体の焼結について,粉体の比表面積が175,194および237 m2・g-1(それぞれ u–HAp(175),u–HAp(194)および u–HAp(237)と略記)を用いて検討した.また,市販のHAp粉体(66 m2・g-1; c–HAp(66))も比較として用いた.これらのHAp圧粉体を加熱したところ,粉体の比表面積が大きいほど,収縮開始温度は低温側にシフトした.初期に起こる緻密化と微構造の発達は,出発粉体中に存在する集合粒子中と集合粒子間の焼結に基づいていた.HAp焼結体の気孔率(P)と結晶粒径(G)との関係は GPn=K(n, K:定数)で表すことができた.出発粉体の比表面積が66から237 m2・g-1 へと増加すると,n および K 値は,それぞれ0.966から0.270および1.786から0.431へと減少した.これらの結果から,出発粉体の比表面積が増加するほど,u–HAp(175), u–HAp(194)および u–HAp(237) 焼結体が高密度化したが,その一方で粒成長は抑制されたことがわかった.

著者関連情報
© 2024 無機マテリアル学会
前の記事 次の記事
feedback
Top