2025 年 32 巻 438 号 p. 164-171
γ型層状リン酸ジルコニウム(γ–ZrP)をホスト材料とし,ルテニウムを賦活剤として複合体を作製し,NH3ガスからのH2発生触媒の作製を検討した.複合体は,イオン交換と剥離の2つのプロセスにより作製した.イオン交換の場合,Ruの導入量はイオン交換容量の約10分の1程度であり活性は低かった.一方,剥離処理を行った試料では,コロイド状Ruがリン酸ジルコニウムナノシート上に固定され,400℃程度の比較的低温域でのH2発生活性が向上した.放射光XAFS測定により,剥離処理したγ–ZrPはコロイド状Ruを固体するのに適していることが確認された.さらに,Ruの化学状態をその場XAFSで分析し,金属Ru種がH2発生に優れた効果を示すことを明らかにした.