抄録
本論文はゆるい飽和砂地盤の液状化を防止する目的で開発した特殊石灰パイル工法の有効性についてのべる。特殊石灰パイルとは, 硬焼生石灰, 水津, セッコウ, 砂の4種類の材料を混合してこれを地盤中にパイル状に造成したものである。硬焼生石灰は膨張の, 水津, セッコウは硬化の, 砂は透水の, それぞれの機能をもたせた。硬焼生石灰塊は100kPa以下の拘束圧の下で, 約4倍に膨張し, 特殊石灰パイルとしては1.4倍以上に膨張する。そのため, 1~2mピッチで打設された直径50cmのパイルは地盤中の地下水と反応して直径60cmのパイルに膨張し, パイルケーシソグを圧入するときの円筒拡幅とパイルの膨張とでパイル間地盤を締め固め, 同時に土圧が増加する。その結果, 地震時の液状化抵抗が増加するので, 液状化対策工法として成立する。本工法の開発にさいして実施した室内試験, 現場試験ならびに振動台実験の結果を示し, 設計法の提案と実施例の一つについてのべる。