抄録
もみがら灰と水酸化カルシウムの水熱あるいは常温にメカノケミカル反応によって, ケイ酸カルシウム水和物の一種であるCa1.5SiO3.5・xH2Oを合成できることがあきらかになった.その化合物の平均直径は10μm以下であり, 合成法と条件によって変化する.ポルトランドセメントペースト中のC-S-Hゲルと同じように, 温度約40℃において水熱法によってえられた化合物は多孔質な構造と大きな比表面積を有するフロックを構成しているように観察された.生成物を加熱するとその構造と細孔に存在する水分を順次に失うが, 750℃までは非晶質な状態を保持した.780℃以上の温度においてはけい灰石に変化した.