抄録
200℃の金属酢酸塩溶液中でギブサイトから水熱合成されたベーマイト結晶の形状を熱水溶液中の化学種と関係づけて検討した.陽イオン径が大の金属酢塩酸溶液 (MAc2) 中では (M=Ba, Sr, Ca), 平板状のベーマイト結晶が生成した.一方, Mが比較的小さな陽イオンのMAc2溶液中では (M=Mg, Mn, Co) 柱状結晶が生成した・金属イオンと酢酸イオン間で非常に安定なカチオン錯体が生成すると, それが成長中のべーマイト結晶に吸着し, AlO2-の接近をブロックし結果として結晶形状を制御し柱状結晶の生成にいたると推定した.希土類酢酸塩 (REAc3) 溶液の場合に認められた柱状ではなく平板状のベーマイト結晶の生成は, 電気的に中性なREAc3種の結晶表面への弱い吸着に由来する低いブロック能より説明した.