抄録
40~90℃の温和な条件のソフト溶液反応により, 非晶質シリカ被覆カルシア固溶セリアナノ粒子を合成し, 光化学特性について検討した.カルシアはセリア中に約20mol%であり, カルシアの固溶により粒成長が抑制され, 粒径2~4nmのナノ粒子が生成された.カルシア固溶によるセリアの微粒化により, 薄膜透過スペクトルでは, 紫外線吸収能が向上するとともに可視部の透明性も向上した.セリアの酸化触媒活性は, カルシアの固溶およびシリカの被覆のいずれでも低減でき, カルシア固溶により, 酸化触媒活性低減のために必要なシリカ被覆量を減少できた.なお, 光触媒活性はセリアおよびカルシア固溶セリアのいずれもチタニアと比較しいちじるしく低かった.