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粘弾性流体の基礎方程式
高島 正樹
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1974 年 6 巻 2 号 p. 20-36

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抄録
非ニュートン流体の一種である粘弾性流体は, 種々の特異な挙動を示すので学問的にも興味深いが, コロイド化学や高分子化学の急速な発展に伴い工業的にも重要なことが認識されてきた。その力学的特性はいろいろな分野の人々によって研究され, 既に一次元線型粘弾性論と呼ばれる現象論的体系が確立されている。一方, 特異な挙動はその分子構造や分子の集合状態に依存するとの考えかた, 物質構造論の立場に立った研究も盛んにおこなわれている。ところで, 粘弾性流体の挙動を流体力学的な観点から記述しようとする試みもある。この場合, さしあたって必要となるのは応力テンソルと歪み速度テンソルの関係を記述する構成方程式であるが, 今のところいろいろなモデルが乱立している状態で, これと言った決定版はない。これらは定式化の手法によって分類されるが, その中でも代表的で最も注目に価するのはOldroydの流派であろう。Oldroydの考え方は一次元線型粘弾性論の自然な拡張と見なし得るが, 一般の非ニュートン流体にも通用する。以下, 彼の手法について解説し, 或る意味でその拡張と見られるWaltersのモデルについても合わせて紹介したい。なお, 純粋に数学的な部分は, 整理の都合上, 数学的準備として本論から切り離したが, その大部分はOldroyd自身の考案によるものである。
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© 社団法人日本流体力学会誌
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