日本流体力学会誌「ながれ」
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地下鉄の風
森井 宜治澤 洋一郎榎本 隆二
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1993 年 12 巻 4 号 p. 423-437

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抄録

地下鉄トンネル内で, 列車の非定常運動が誘起する気流を「地下鉄の風」と呼ぶ.地下鉄系内のように閉塞された空間では, 気流速度が音速に比べて十分小さい場合であっても, 「地下鉄の風」の発生には気体の圧縮性が重要な役割を果たす.この圧縮性の指標となるのは, トンネルの断面積に対する列車面積の比, 閉塞率である.閉塞率が1に比べて小さくなると気体の圧縮性は重要ではなくなるが, 地下鉄系は気流の発生に関して気体の圧縮性が重要な役割を果たす領域と, そうでない領域の中間に位置する.この中間領域において, 巨視的な「地下鉄の風」が誘起される機構を, 運動する列車近傍における微視的な気流密度, 速度のゆらぎの振舞いを理論的に取り扱うことによって説明した.この理論に基づく計算結果は, 模型実験の結果とよく一致する.

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