日本流体力学会誌「ながれ」
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都市キャノピー近傍における組織的乱流運動
孟 岩老川 進
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1995 年 14 巻 3 号 p. 233-244

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抄録
都市キャノピーにおける垂直乱流構造および組織的な乱流運動を明らかにするために, 札幌市郊外の住宅地 (平均高さh=7m) において1991年から1992年にわたって野外観測を行った.観測高さは, それぞれ5.4m, 10.3m, 18m, 35mおよび45mである.その結果, 変動風速の標準偏差σuの垂直分布はキャノピー上でブロードなピークを持ち, 一方, σvおよびσwはほぼ均一な分布となっていることが分かった.レイノルズ応力の垂直分布は, キャノピー高さの1.5倍付近で弱いピークを示し, それ以上の高度ではゆっくりと減少する.また, レイノルズ応力の高い値を持っ層は, 高速流体魂の下層への流入 (sweep) および低速流体魂の上層へ噴出 (ejection) する2つの特徴的な乱流運動によって形成されていることが, 4象限解析により明らかにされた.更に, アンサンブル平均法によりramp現象に伴う流れ場と温度場の構造が示され, 組織運動が起こした上昇流および下降流はキャノピー内外における熱の垂直輸送に重要な役割を担っていることが明らかとなった.
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