抄録
濁水密度流や雪崩現象などに代表されるような傾斜重力密度流の流動特性を予測する手段としては, 積分型モデルが有効な方法である.そのような半理論モデルを構築するためには, 傾斜重力密度流のフロント部の連行係数を統一的かつ普遍的に定量化する必要がある.本研究は, 5°から90°の範囲で底面傾斜角度を変化させた室内実験を行い, 傾斜重力密度流, つまり, 傾斜プルームと傾斜サーマルのフロント部の連行係数を底面傾斜角度の関数として普遍的に定量化することを試みたものである.両流れの連行係数は全角度でほぼ一致し, 傾斜重力密度流のフロント部の連行係数として底面傾斜角度の1次関数で統一的に表わせることなどが明らかにされた.