日本流体力学会誌「ながれ」
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適応壁の貫流制御模擬計算
中村 正義半沢 麻雄
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1997 年 16 巻 5 号 p. 404-414

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抄録
風洞の測定部における模型と風洞壁の空力干渉を和らげるために, 風洞壁の空力条件を制御する適応壁風洞がある.。その制御方式には壁の形状を制御するものと, 流れの状態量を制御するものがある.後者の代表が適応壁の圧力制御である.それは, 通気性の壁の外側に独立して設けられた複数の整圧室の圧力を制御して, 制御面である壁における流れの方向を調節するものである.この圧力制御の補足として通気性の壁における流れ方向を直接調節する試みがある.
適応壁の制御には風洞の現実の流れと外側の計算による流れが必要である.この論文は内部流と外部流を共に数値的に扱い, 通気性がある壁を貫く流体速度を制御する適応壁の貫流制御の模擬計算法に関するものである.
流れを粘性がない非定常な圧縮流とする.オイラーの流れの支配方程式の解を物理座標格子において差分法により求ある.壁における流れの勾配を共通の境界条件に与えて, 風洞の内部流と外部流を独立して同時に計算する.その過程において壁で両流れの圧力差を解消するように壁を貫く流れの速度を制御する.それにより, 壁で内部流と外部流を流線方向と圧力に関して一致させて, 全体に自由流に近い状態を作る.
標準的な翼型を風洞内に置いて, 低速から高速における適応壁の貫流制御の模擬計算を行った.
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