日本流体力学会誌「ながれ」
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時間変動風応力のもとでの閉鎖性水域内のマルチセル構造の形成
灘岡 和夫二瓶 泰雄栗原 礼八木 宏日向 博文
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1997 年 16 巻 6 号 p. 500-510

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抄録

東京湾等の閉鎖性水域における海水流動においては, 風を駆動力とする流れ, すなわち吹送流が重要な要素の1つとなるが, 従来の数値解析では, ほとんどの場合, 風の場を時空間的に一様と想定して扱っている.本研究では, 風の場の変動性のうち特に時間変動性に着目して, それが閉鎖性水域内の流動特性に及ぼす影響を, 時間的に正弦振動する風応力を作用させたときの閉鎖性水域内主動に関する数値実験を行うことにより詳細に検討した.その結果, 変動風では, 平均流パターンとして, 定常風の場合とは大きく異なる特徴的なマルチセル構造が生じることを示した.また, このマルチセル構造の基本特性が, 水域の固有周期や循環流形成時間に対する風応力の変動周期の相対的な大きさに強く関連することを, その力学的メカニズムとともに明らかにした.

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