抄録
無限に長い円筒容器内の粘性液体中を, 無限小厚の円板が, その面を円筒軸と垂直に保って, 円筒軸に沿ってゆっくり移動するときの円板まわりの流れ場を, 差分法を用いて, 数値的に解き, 流れ場への流れのレイノルズ数と円筒容器の側壁の効果を検討した。円板付近の流線のふくらみ現象は, 円筒容器側壁の接近により抑圧され, より急激に変化するようになり, 円板の後方に形成される渦域の長さは減少する.次いで, エネルギ逸散法に基き, レイノルズ数が0.01~50, 円板と円筒容器の直径比が0.1~0.67において, 円板の抵抗を算出した.円板の抵抗は, 同じレイノルズ数では, 円筒容器の側壁効果により増大する.さらに, 無限域における円板の抵抗係数とレイノルズ数の関係を表すBreachの理論式の三つの係数が, 円板と円筒容器の直径比の関数であるとして, 数値計算結果に基き, 円筒容器の側壁効果を考慮した円板の抵抗係数の算定式を作成し, 提案した.