抄録
近年,野生化したアメリカミンクによる小型げっ歯類の捕食や在来の中型哺乳類との競合などの問題が発生している.海外では,外来種のアメリカミンクが在来のげっ歯類に捕食圧をかけたことによりげっ歯類が減少し,植生にまで影響が及んでいる.本研究では,北海道東部釧路川源流域の河畔林内において,アメリカミンクの生息状況および餌資源の季節変化を明らかにし,同所的に生息する小型げっ歯類の分布状況を把握することで,アメリカミンクが在来の小型げっ歯類に及ぼす影響について検討することを目的とした.アメリカミンクの撮影回数は昼夜区別ないが,とくに昼前後が最も多かった.アメリカミンクの痕跡は釧路川合流地点で多く確認され,糞からは小型げっ歯類の毛や骨が検出された.小型げっ歯類は,下層植生が豊富で,とくにササ型林床を示す場所で多く捕獲された.アメリカミンクは高密度となる環境下でも適応可能であり,狭い範囲に複数のアメリカミンクが生息することで,小型げっ歯類に対し高い捕食圧を示すことが推測できる.