熱硬化性樹脂
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メチロールメラミンの水素結合に関する分子軌道法による考察
犬塚 功三田島 守隆
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1981 年 2 巻 4 号 p. 185-191

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抄録
メチロールメラミン (MM) は1, 3, 5-トリアジン環とメチロール基 (CH2OH) で置換される3個のNH2基を有している。したがってMMはプロトン供与体およびプロトン受容体として水素結合形成の際に働く。この論文ではMM間の水素結合をCNDO/2法を用いて調べた。しかしながら, 最も簡単なモノメチロールメラミン (1MM) 間の水素結合でも2個の1MMを同時に取り扱うことは計算上困難であったので, CH2OH基と性質の類似したメタノールで2個のMMの中の1個を代用した。そのため, 計算上はMMとメタノールをモデルとしてMMの環のN原子とCH2OH基の水素結合ならびにCH2OH基間の水素結合を調べた。
(I) 環のN原子の水素結合力は隣接するNH2基によって強められるが, そのNH2基に置換されたCH2OH基によって環のN原子の水素結合は妨げられる。したがって, 環のN原子とメタノール間の水素結合は以下の3つの場合に分けられる。 (1) 4位, 6位のH原子 (本文参照) がCH2OH化されていない場合, (2) 4位または6位のH原子の内, 1個がCH2OH化されている場合, (3) 4位, 6位のH原子が共にCH2OH化されている場合。 (1) の場合には安定な水素結合が可能で, 3つの中で最大の結合エネルギーを与える。 (2) の場合はCH2OH基による立体障害を避けるような空間配置のとき水素結合は形成される。 (3) の場合は水素結合の形成は困難である。
(II) MMのCH2OH基とメタノール間の水素結合エネルギーは近似的にはメタノールの2量体形成のエネルギーに等しい。このことはCH2OH基間の水素結合エネルギーも近似的には現在の計算結果に等しいと考えることができる。CH2OH基間の水素結合は (3) の場合や高次のMM間の水素結合の場合には重要な結合形式と考えられる。
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