1986 年 7 巻 2 号 p. 67-72
カルボン酸ヒドラジドによるエポキシ樹脂の硬化反応を定温示差走査熱量法 (DSC) によって速度論的に解析した。
この反応はアミンによるエポキシ樹脂の硬化反応と同様に反応中に生成する活性水素化合物によって促進され, 自触媒型の三次反応であった。
液状の脂肪族ジヒドラジド (ST-2PDH) による均一系での硬化反応では, その反応速度定数 (k2) は芳香族アミン (DDM) のk2とほぼ同じであった。しかし, その活性化エネルギー (E) は6.9kcal/molと芳香族アミンのEより小さかった。
一般的な脂肪族ジヒドラジドである高融点で粉体のアジピン酸ジヒドラジド (AADH) を分散した系の硬化反応では, k2の見かけの活性化エネルギー (Ea) は32kcal/molと非常に大きく, 分散した硬化剤が樹脂に溶解してから反応が開始するために, 溶解の過程が硬化温度によって大きく影響することが認められた。