Neurosonology:神経超音波医学
Print ISSN : 0917-074X
ISSN-L : 0917-074X
定位的マーカー挿入によるエコーガイド下グリオーマ摘出術
吉田 雄樹別府 高明荒井 啓史和田 司鈴木 倫保小川 彰
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1997 年 10 巻 4 号 p. 181-185

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抄録

頸動脈疾患におけるドプラ超音波を用いた無症候性の塞栓シグナル (ES) の検出の頻度は高く, 疾患の活動性のマーカーとなり, 卒中リスクの高い患者の選択を可能にする.しかし報告によって無症候性ESの検出頻度が異なっており, ESの同定に違ったクライテリアが用いられているのではないかという懸念がある.前回の二つのセンターの間の再現性調査では良好な一致を見たが多数のセンター問の調査は行われていない.ES検出について最近報告を出している九つのセンターの間で国際的な再現性調査が行われた.
各センターは症候性頸動脈狭搾のある六人の患者の中大脳動脈TCD記録のオーデイオドプラ信号をブラインドで解析した.ESを検出した正確な時間を記録した.六つのセンターでは各ESの強度の増加も記録した.観察者間の一致は特別な協定に基づく方法で決められた.七つのセンターは39-55の信号を記録した.しかし一つのセンターは142のESを報告した.観察者間の一致確率は.678であるが, 最多のESを報告したセンターを除くと.791であった.デシベル閾値を導入すると一致確率は著明に上昇した.>7dBのデシベル閾値にすると.902の一致確率となった.大概のセンター問での強度測定は良い相関を示したが必ずしも常にそうではない.15の相関のうち3は有意ではなかった.測定された強度の絶対値はセンター間で40%も違っていた.
結論: 研究報告によってESの頻度が違うのは少なくともある程度はESの同定に異なるクライテリアが用いられていることを反映している.以前に提唱されていたES同定のコンセンサスクライテリアは異なるセンターにおけるES同定の再現性には十分に精確とはいえない.デシベル閾値を用いると再現性が向上し観察者間の一致率の著明な改善が得られる.しかし, 一つのセンターで開発された強度閾値をそのまま他の施設で使うことは出来ない.測定方法が違うので同じ装置が用いられていても同じESで違った強度の値が得られるのである.

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© 日本脳神経超音波学会
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