ニッチェ・ライフ
Online ISSN : 2188-0972
博物ふぇすてぃばる!・レポート
熊澤 辰徳
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2014 年 2 巻 p. 1-2

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特集 博物ふぇすてぃばる!・レポート Report of "Hakubutsu Festival", the event for all science-lovers 熊澤辰徳 * Tatsunori KUMAZAWA*

2014 年 8 月 9,10 日、科学技術館で、博物学 動物、昆虫や棘皮動物などの無脊椎動物、植物、菌類、 を愛する人たちのためのイベント「第 1 回博物ふぇ 微生物、古生物、空想生物まで、ありとあらゆる生 すてぃばる!」(以下博物ふぇす)が開かれた。生 物が様々な形のグッズや展示として扱われていた。 物学をはじめ、鉱物や化学、物理、数学、考古学など、 もちろん生物学だけでなく、鉱石、金属結晶、電子 幅広い分野の愛好家や研究者が集い、それらをテー 部品、化学実験器具、計算機、医療器具、石版など マにした創作物の販売や展示、研究発表などが行わ 博物学に関連したあらゆるグッズや展示が並び、果 れた。両日で 115 のブースが出展し、来場者は土 ては土偶のパントマイムや「物理学研究者」そのも 日合わせて 3814 人(両日来場を含むと延べ 4000 のの展示など、様々なアプローチで博物学の多様な 人以上)に達した。 分野の魅力に触れられる場となっていた。

この博物ふぇすは、2013 年に開催された生物系 創作イベント「生きものまーけっと」 (以下なまけっ と)の流れを汲んで開催された。そのため、生物系 のブースが比較的多く、なまけっとと博物ふぇすに 両方出展しているブースも少なくなかった。しかし、 なまけっとが展示販売を中心としていたのに対し、 博物ふぇすはより学問的な部分を前面に押し出して いる。その好例が「ガクモンからエンタメ」という 試みで、物販を行うブースでは、学問や研究から影 響を受けた作品や、学問・研究を紹介する作品をブー

開場前から入場待ちの長い列ができた。

両日とも開場前から長蛇の列ができ、一時入場制 限がかかるほどの来場者が訪れた。土曜日は初日と いうこともあり、時間帯によっては入場までに一時 間以上並んだという人もいた(なお土曜日だけで 2300 人以上の来場者を記録)。日曜日は台風 11 号 が関東地方にも上陸したが、午後から子供の入場が 無料ということもあり、会場には常に多くの来場者 が押しかけていた。扱われた題材はブースによって 多様で、生き物だけでも哺乳類や爬虫類などの脊椎 一時入場規制がかかるほど大盛況だった会場

  •    大阪市立自然史博物館

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    ニッチェ・ライフ Vol. 2 (Sep. 2014)

ス内に展示するという企画である。ほかにも、研究 者などによるワークショップや、出展者から一押し の博物を募り、その中から次回のイメージ博物を決 める「博物総選挙」といった企画もあり、ただの展 示即売会ではなく、 「一期一会の博物館&ミュージ アムショップ」 (公式サイトより)となっていた。

本誌『ニッチェ・ライフ』は、博物ふぇすの公認 取材班として、両日ともブースを出展した(ブース No.66)。そこでは、各ブースの出展者や来場者の 皆様に取材を行うとともに、ブース内に出張編集室 を設けて、随時紙面の編集を行う試みを行った(会 ニッチェ・ライフブース。左の画面で編集風景を公開し、 場を回って取材をしている時間が多く、編集の様子 第 1 号の見本を展示した。画面に写っているのは、博 をあまり公開できなかったのが残念だったが…)。 物総選挙で推薦したキラメキアシナガバエ。 本誌ブースに御来場いただいた方に話を聞くと、 「特に目的のブースがあったわけではないが、博物 今回の特集号刊行に当たって、公認取材班として 学全般に関心があり、自分でもグッズづくりをする 便宜を図って頂いた小毬かのん様(パイライトスマ ので来たかった。すでにたくさんのグッズを買った」 イル)ならびに菅原紫穂様(カンブリ屋)、取材・ 「こういうイベントはなかなかないから面白い」と 撮影を快諾頂いた各ブースの出展者の皆様、本誌 いった方が多く、博物学全般に広く関心を持った人 ブースにて取材・撮影・アンケートにご協力いただ が多いような印象を受けた。中には「次の博物ふぇ いた皆様、本誌ブースに御来場いただいた皆様、提 すに出たいと思って見に来た」という方も。さらに 携ブースとしてブース運営・取材にご協力いただい は「『ニッチェ・ライフ』を読んで、DIY Biology に た「ミクロ・ライフ」(ブース No.67)、「スマホ顕 関心を持ち、知り合いにも記事を広めた」という嬉 微鏡が見つけるあなたの微小宇宙―Life is Small プ しいお話も頂いた(DIY Biology については第 1 号 ロジェクト―」(ブース No.109)の皆様に、この の記事を参照) 。 場を借りて心より御礼申し上げます。

参考 URL 博物ふぇすてぃばる! 公式サイト http://hakubutufes.com/ 博物ふぇすてぃばる!のススメ(小委員会ブログ) http://ameblo.jp/hakubutufes-sub/ 博物ふぇすてぃばる! 公式ツイッター https://twitter.com/hakubutufes 博物ふぇすてぃばる! 小委員会ツイッター

隣のミクロ・ライフブースとは共同出展。前号で掲載 https://twitter.com/hakubutufes_sub したミクロ生物を、実際に顕微鏡で覗けるコーナー。

次回も「2015 年夏に科学技術館での開催を予定」 (主催者)とのことで、学問とエンターテインメン トがさらに混ざり合った、他に類のない定期イベン トに成長していくことを期待している。

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