日本観光学会誌
Online ISSN : 2436-7133
Print ISSN : 1341-8270
-主要旅行業者50社データによる旅行市場分析-
麻生 憲 一
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2003 年 43 巻 p. 43-51

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抄録

 本稿では、 1994年から2002年までの主要旅行業者50社旅行取扱額データに基づき、 国内旅行取扱額と海外旅 行取扱額の時系列的推移を明示し、 分析期間中の集中度指数を累積集中度とHHI (Herfindahl Hirschman Index) により導出した。 取扱額の時系列的推移をみると、 国内旅行では、10月期ピークが次第に平準化し、7・8月期に 移りつつある。 海外旅行取扱額の変動係数は国内旅行に比べて相対的に大きく、 季節性に影響されやすい。 海外 旅行市場の累積集中度をみると、 上位旅行業者への集中度が高まり、 寡占化が進んでいる。 しかし、 国内旅行市 場ではHHIが低下しており、 主要50社内では競合化により、 取扱額シェアの均等化がみられる。 旅行需要サイド からの影響をみると、 海外旅行者数の増加は海外旅行市場の上位集中度を高めている。 また1人当たり旅行費用 支出の低下は、 国内旅行市場の主要50社内取扱額シェアを均等化させ、 海外旅行市場の主要50社内取扱額シェア を分散化させる。

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© 2003 日本観光学会
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