日本観光学会誌
Online ISSN : 2436-7133
Print ISSN : 1341-8270
エスニック商店街における商店街活性化の課題 ─大阪・生野コリアタウンの観光化によるニューカマー商店主の増加に注目して─
吉田 全宏八木 寛之
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2017 年 58 巻 p. 39-45

詳細
抄録

本稿では、エスニック商店街における商店街活性化の課題について、新しく商店街に出店したニューカマー商 店主の商店街組織への参加という観点から考察する。調査対象地である大阪市生野区「生野コリアタウン」では、 韓流ブームの影響もあり、とくに2000 年代以降多くの観光客が訪れるようになった。しかし、近年多数出店した 「韓流ショップ」などを運営するニューカマー商店主たちの多くは、自身の商売には熱心だが商店街活動に対して 活発ではなく、生野コリアタウンという場所の価値を消費する存在として映る。本稿の調査からは、彼らのなか に商店街活動に参加意欲のある者も存在しており、その意欲の源泉は商店街内でのインフォーマルな関係にある ことが明らかになった。また、商店街活動への参加の可否は、商店自身が家族経営であることが大きく関係して おり、特に開業年数の短い商店主にとってそのハードルが高いことも明らかになった。したがって、旧来型の商 店街組織とは異なる新たな枠組みでの関係の構築が求められる。

著者関連情報
© 2017 日本観光学会
前の記事 次の記事
feedback
Top