日本観光学会誌
Online ISSN : 2436-7133
Print ISSN : 1341-8270
農泊におけるOTA利用者の評価分析
宮川 薫大江 靖雄
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2022 年 63 巻 p. 57-63

詳細
抄録

 旅行行動におけるOTA(Online Travel Agent)の利用は、一般化しており我が国における農泊においてもOTAが登場している。しかし、農泊におけるOTA利用者のオンライン評価と農泊サービス提供側との関連性は、経営上重要な論点であるものの、研究成果は限られている。そこで本稿では、Stay Japanの農泊OTAの宿泊者のオンライン評価と農泊側の提供サービスと満足度との関連性をロジット分析で計量的に解析する。そして、オンラインでの書き込み評価(e口コミ=eWOM)を収集してテキスト分析で利用者が重要視しているキーワードを共起ネットワーク分析により、評価の違いとキーワードとの間にどのような関係性があるのかを分析した。ロジット分析結果から清潔さや対応の良さ、コストパフォーマンスの高さが利用者の満足度を上げる要因となっていることが判明した。テキスト分析からは、ホストが丁寧な対応をすることで宿の滞在中の快適さを保ち、体験や食事などから楽しさを提供することが総合満足度を上げる要因であることが判明した。以上の点から、良質な農村ホスピタリティの重要性とその構成要素を明らかにすることができた。今後、デジタル時代における農村ホスピタリティのあり方についての研究を深化させる必要がある。

著者関連情報
© 2022 日本観光学会
前の記事 次の記事
feedback
Top