日本観光学会誌
Online ISSN : 2436-7133
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歴史・文化資源を有する市街地における再構築について-ならまち、松江市及び金沢市の老舗による場の創出を中心として-
小村   弘
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2022 年 63 巻 p. 73-82

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抄録

 本稿は、奈良市の歴史的市街地である「ならまち」を中心に、松江市及び金沢市の歴史的市街地における歴史・文化資源を分析した上で、老舗による伝統工芸・産業や食を用いた文化体験の場の設置とまちの再構築の関係を考察したものである。ならまちや金沢市東山ひがし地区周辺では、老舗が食文化や伝統工芸の体験の場を創出し、その体験の場が地域に集まること(集積)によりまちの再構築(再生や活性化)に寄与したものと考えられた。一方、松江市の商店街では老舗が集積していたが、観光空間への再構築に繋がっていなかった。このような差異は、文化体験の場の集積による場の価値の創出に依拠し、そのブランド化により観光空間への再構築につながるものと推察された。

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