日本考古学
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古墳時代の金属装鞍の研究
鉄地金銅装鞍を中心に
宮代 栄一
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1996 年 3 巻 3 号 p. 53-82

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抄録

古墳時代の鞍金具の研究は,同時期の馬具の中でも最も分析が遅れている分野の一つである。この論文は,当該期の馬装を復元するための基礎作業として,古墳時代の鞍の分類・編年を確立することを目的とする。
分析の手順としては,まず,鞍の一部に金属を用いる鞍(以下,金属装鞍と呼ぶ)を対象に選び,磯,海,山・覆輪,縁金具,〓という5つの分類基準を設定して,その項目ごとに細かな分類を行った。さらにその結果に基づき,古墳時代の金属装鞍に木装鞍,鉄地金銅装鞍,鉄装鞍,金銅装鞍という4つの大系列を設定し,各系列ごとの分岐の状況や系列間の関係を検討した。
古墳時代の鞍の中では初めに鉄装鞍の系列が導入されるが,やがて舶載品と思われる金銅装鞍の影響を受けて,鉄地金銅装鞍や木装鞍の系列が成立する。このような古墳時代の鞍の発展段階は大きく6期に区分することができる。

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