Niigata Iryo Fukushi Gakkaishi
Online ISSN : 2435-9777
Print ISSN : 1346-8774
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2023 Volume 22 Issue 3 Pages 128-129

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メディカルコントロール(以下MC)とは、医学的な質を保障する取り組みをいい、責任の意味合いのある「保証」ではなく、保護の意味合いである「保障」としている。MC体制の構築については、1991年に救急救命士法が制定された10年後の2001年に厚生省(現厚生労働省)と消防庁の発出文書に示された。その後MC体制の充実強化について、2003年に、後に行われる気管内チューブによる気道確保等の救急救命処置範囲の拡大に向けて都道府県MC協議会と地域MC協議会の役割が示された(図1)。

都道府県MC協議会長の構成機関は47都道府県のうち44都府県が医療機関で3道県が行政機関で、地域MC協議会長では248地域MC協議会のうち15MC協議会が消防機関であり、全国で医療の質を保障する体制が整っているとは言い難い。MC協議会は法的な位置付けはなく、法的位置付けとするために、傷病者搬送及び受入れの実施に関する基準を定めた改正消防法に伴う法定協議会に、27都府県のMC協議会が参画している。救急先進国のアメリカでは、各州で救急関連事項をCode of Regulation(規範規定)として定め、救急隊や医療機関、テーマパークに勤務するパラメディックを含む救急隊員の医療の質を保障するMC体制が整えられている。

2021年に「良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を推進するための医療法等の一部を改正する法律」に基づき、救急救命士法が改正され、医療機関の救急外来等での救急救命処置の実施が可能となった。これに伴い、「医療機関に勤務する救急救命士の救急救命処置の実施についてのガイドライン」が日本救急医学会と日本臨床救急医学会から示されている。このガイドラインでは、医療機関に勤務する救急救命士が医師の指示下で行う救急救命処置を実施する場合には、それらの救急救命処置を都道府県MC協議会の認定を得ることを必要条件としており、厚生労働省は医療機関での運用等については、このガイドラインを参照することが望ましいと通知している。

しかしながら、都道府県MC協議会は消防機関の救急救命士の医療の質を保障するために設置されており、医療機関に勤務する救急救命士までは包含しておらず、地域によっては県MC協議会の認定を受けることができないため、病院内MC協議会を立ち上げ、それらの認定や質を保障しているのが現状である。

現在、医療機関を含め消防機関以外の救急救命士の質を保障するMC体制は構築されているとは言えない。今後、医療機関を含め消防機関以外の救急救命士が活躍するためには、様々な職域の救急救命士を包括したMC体制を構築するか、または救急救命士法に基づく各職域でのMC体制の構築が必要である。

 
© 2023 Niigata Society of Health and Welfare

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