日本化学会誌(化学と工業化学)
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Print ISSN : 0369-4577
一般論文
ポリ(フッ化ビニリデン)の有機溶媒中でのゾル-ゲル転移曲線
和田 理征藍原 清孝野本 浩史田崎 美智子岡部 勝
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2000 年 2000 巻 11 号 p. 797-802

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抄録
ポリ(1,1-ジフルオロエチレン)(以下ポリ(フッ化ビニリデン)(PVdF)という)はケトン類やラクトン類に溶解し,その熱溶液を室温近傍で冷却すると熱可逆性ゲルへ転移する。この論文では,溶媒にヘキサン,シクロヘキサノン,γ-ブチロラクトン,N,N-ジメチルホルムアミドを用い,これらの溶媒とPVdFとの相互作用パラメーター(x12)をインバースガスクロマトグラフィーから見積もることにより,PVdF溶液のゲル化とx12の関係を検討した。また,PVdF溶液がゲル化する濃度領域を調べ,ゲル化領域の分子量依存性についても検討した。
x12の温度依存性(測定温度範囲:約90-220°C)を調べたところ,いずれのPVdF/溶媒系でも温度が低下していくと,x12は正の値をとりながら徐々に大きくなる傾向を示した。しかも,ゲル化する系は温度が低下すると,x12の値が0.5を横切って増大していくような系(PVdF/シクロヘキサノン系)や0.5に漸近していくような系(PVdF/γ-ブチロラクトン系)であった。つまり,x12が0.5より非常に大きくなる系(PVdF/ヘキサン系)や0.5より非常に小さくなる系(PVdF/N,N-ジメチルホルムアミド系)では,ゲル化は起こらなかった。一方,ゲル化領域は,分子量が増大すると,より低濃度側へ移行した。
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© 2000 The Chemical Society of Japan
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