日本化学会誌(化学と工業化学)
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一般論文
ポリ塩化ビニル·低密度ポリエチレン混合プラスチックの接触分解
辻 俊郎池本 英夫伊藤 博徳
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2000 年 2000 巻 11 号 p. 811-815

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抄録
ポリ塩化ビニル(PVC)および低密度ポリエチレン(LDPE)の単独,および両者の混合物をH-ZSM5触媒により反応温度を変化させた接触分解を行い,エチレンを主体とする生成ガス,およびベンゼン,トルエン,キシレン(BTX)とナフタレンを主成分とする軽質油という有用成分をより多く生成する廃プラスチックの処理法を検討した。PVC単独の接触分解において,生成ガス収率は450°Cの反応で3.5wt%であった。軽質油収率は,500°Cの反応で最高9.8wt%を得た。PVC,LDPE混合物の接触分解反応において,重量混合比1:1の場合,生成ガスおよび生成油の加算した収率は,いずれの反応温度においても実測値は,それぞれ単独の接触分解で得た実測値を混合割合により求めた相加平均値と大きな差は認められなかった。しかし,PVC:LDPE重量混合比1:9の混合物の場合には,各生成物収率(生成ガス,生成油)の和は,500および550°Cの反応において,実測値が相加平均値を上回り,混合して処理することにより有用成分取得が増加することが認められた。また,あらかじめ脱塩化水素処理したポリエンの反応結果から,PVCから発生するHClは,生成物収率(生成ガス,生成油収率)に影響を与えなかった。
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© 2000 The Chemical Society of Japan
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