日本化学会誌(化学と工業化学)
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総合論文
ラジカル環化重合で得られる先端的電子 · 光学向け材料としてのペルフルオロ透明樹脂の開発
中村 秀杉山 徳英江藤 恵男青崎 耕遠藤 淳二
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2001 年 2001 巻 12 号 p. 659-668

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抄録
ペルフルオロ(ω-ビニルオキシ-1-アルケン)(CF2=CF–O–(CF2)x–CF=CF2) (x = 1,2)をラジカル環化重合することで非晶質なペルフルオロ透明樹脂が得られる.その樹脂は光学的に透明で溶媒に可溶であり,既存の商業生産されているフッ素樹脂の特徴,すなわち傑出した耐熱性,薬品耐性や低屈折率,低誘電率を兼ね備えている.とくにペルフルオロ(4-ビニルオキシ-1-ブテン) (x = 2)からなるポリマーはガラス転移点が高く,先端的電子 · 光学向け材料として有用である.重合挙動は一般のラジカル重合と同様であり,環化は五員環の生成が優先する.末端基のフッ素化により波長200 nmから1500 nmにおいて現在知られている有機光学材料の中で最も透明な材料が得られる.また,末端基のアミノシラン変性により各種基材への密着性を付与した.これらの変性により本ペルフルオロ樹脂をペリクル,光ファイバー,反射防止コーティング,LSI用の低誘電率材料等の用途へ応用することが可能となった.
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